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結露を考える

窓に水滴がビッショリ・・・タンスのウラがカビだらけ・・・押入れの中が湿気る・・・・
今住んでいるあなたの住いはこんなことありませんか。続き

開口部は木製の建具がアルミサッシに変わり気密性が高まったにもかかわらず室内の空気を使って暖房する生活パターンは変わらなかったのです。
そうです。
石油ストーブなどの利用が継続されたために室内の換気が不足するようになり危険な一酸化炭素中毒が住人の命にかかわる問題となりました。
これを解消するために、寒い冬には窓を開けが推奨されていたのですが、現実はせっかく温めた部屋を冷やす事になる窓を開放しての換気がされていたとはいえません。
その結果、当然のこととして一酸化中毒死。
こんな新聞報道が時々されていたわけです。

少なくても、一段と高断熱高気密化した住宅の中で開放型の石油ストーブは、危険です。
危険なのですが、これが意外と今でも使われているのには驚きます。
私にとって信じられない光景が私の住んでいる住宅団地で毎年冬場に繰り広げられています。
新築間もない家も古い家もまったく同じように家の前に、18リットルの灯油ポリタンクがずらっと並ぶのです。
灯油を配送するタンクがそのポリタンクの中に灯油を満杯にして去っていく。
この光景からわかる事は、冬場の暖房の多くは「今でも灯油ストーブが使われている」ということです。
その灯油ストーブで温めている場所といえば、居間などを中心にした人のいるところのみということでしょう。
灯油を燃焼させるこの暖房機は空気を汚し燃焼させた灯油と同量の過剰な湿度を発生させてしまう事を知った上で使っているのでしょうか。

それこそ、一昔前に建てられた木製の外部建具を使い隙間風に悩まされる住宅ならまだしも空気が汚れる心配は少ないだろうが、中途半端に高断熱・高気密化した最近の住宅でこのような生活をしたらどうなるでしょうか。

窓の周りは勿論、ビニールクロスのように呼吸をまったくしない石油で作られた化学建材の表面は結露、タンスや押入れも結露に悩まされることは間違いありません。
新建材で覆われた建物の構造体内部も同様。
グラスウールなどの断熱材も結露によって断熱性能を低下させるばかりでなく、躯体が腐りシロアリの絶好の餌になるのです。

そしておまけには、このような生活は極端なほどの住宅内各部の温度差を引き起こし家の中を移動するたびにこの温度差が体に負担を掛ける事になってしまいます。

目には見えない汚れた空気は暖房や冷房の風、掃除機の排気、室内上下の
温度差による対流などによって攪拌されます。
この攪拌された汚れた空気が、アレルギーや喘息などの症状を持つ人にとっては体によくないことは言うまでもありません。
生活の中では、新聞や書籍、家具やカーテン、そしてドライクリーニングなどにも
健康に害のある物質が含まれています。
家と生活用品や服を健康と結び付けて考える人はほとんどいません。
しかし、「家の空気の質」と考えたなら例え微量でも、その影響を受ける人がいるのです。
原則は「弱者の立場で考える」ということです。
健康な人にはまったく害の無いレベルであっても、弱者にとっては大きな苦しみを
引き起こすことがあるからです。
「家を建てる」こんなイベントは一生に何度もあるものではありません。
これを機会に空気質を長期にわたって汚染する可能性のある内装仕上げ材を避け、生活スタイルを見直し、健康にプラスに働く住宅造りを目指すのが賢明です。