昔の住宅は本物の自然素材を使い熟練した職人たちによって造られていました。
大工をはじめとして左官・塗装・建具・石工などひとつとして同じものが無い自然素材を使うため、十分な技術と経験が要求されたのです。
しかし今は、一部の本格的な住宅を除いてこの左官・塗装・建具などの職人が家造りに参加する事は少なくなりました。
自然素材の持つ素材そのもののばらつきは、完成すると微妙なバランスで、暖かい風合いをもたらしてくれます。
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何かその空間にいると「ホッとする」と言ったらいいのでしょうか、安らぎをもたらしてくれるはずです。
一方、最近流行とも言える「デザイナーズ系の住宅デザイン」はカチッとした
都市型のシャープで冷たいデザインが主流です。
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暖かい家・自然素材の家とは対極にあるといってもよいでしょう。
特に、最近の高級マンションや高級ホテルの内装には共通点があり、それを一言で言えば「シティ系」だと思います。
白を主流に、色を多く使わないインテリアは、それはそれで魅力があります。
自然素材を使った家とシティ系のデザインは、現在の家の両極なのかもしれません。
では、普通の家はどうなっているでしょうか・・・・
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ひたすら価格を抑えるために、室内も塗り壁に変わって「早い・安い・簡単」なビニールクロスになっています。
内部の仕上げのドアや巾木・枠材なども無垢材から化粧シートを被覆した新建材になり、ドアの取り付けなどは大工が簡単に取り付けられる仕組みになっているのです。
ここには、建具屋の仕事も和室の襖・障子ていどしかなく、塗装業者もせいぜいカウンター塗装がある程度なのです。
肝心の大工も
ハッキリ言えば、大工の仕事ではなく経験も技術もほとんど要らない「大六」ともいう職人で勤まってしまう家が多くなっています。
これが現実です。