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もし100棟の木造住宅が建ったら・・・・

あなたはどのようなことを考えて木材を選んでいるだろうか。続き
それはなんと言っても国産材がいいよ・・・「それも出来ればヒノキ材で」とこだわる人が一部にいる反面、「木造」というだけで、それがどこの国の木材か、どんな樹種なのか、気にしない人が大半です。
あなたが参考に訪ねるモデルハウスなどの大半は、見える外観やインテリア、設備などにお金をかけますが、見えない構造部にお金は使いません。
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誰でも「見えないもの」「見えなくなるもの」には関心を示さなくなります。
木材も、完成したら「目に見えるか」、それとも「見えないか」で、オーバーに言えば「その家造りは根本的に違ってくる」のです。
〈木材が見える家〉
木材を吟味し、化粧となる木材の加工に手間隙かけて造る。
〈木材が見えない家〉
そんな時間をかける必要もないし、木材にこだわる必要はない。
木材が見える、それとも見えない、これは建築コストに大きく影響します。
材木、大工、工期、養生など全てにおいて、まったく異なった家造りといっても良いのです。
それは、間違いなく「見える、見せる家」の価格は高い、しかし、完成した住宅の質も比較にならないほど高いものになるのです。
見せる家造りで、国産材、それも無垢材を使うというとなると、造る側は神経を使わざるを得ません。
無垢材には、「割れる」「縮む」「狂う」など呼吸する生きている木材ならではの、問題があり
それが、そのまま見えてしまう事になるからです。
これを、完全に防ぐ方法は残念ながらありません。
少しでも、これらを防止するため「木材の乾燥」「加工の仕組み」「適切な金物の使用」を駆使していくしかないのです。

外材は、見栄えや耐久性能は劣るが、価格も安く(現在では価格差はほとんどない)、寸法精度や乾燥などは優れています。
特に、昨今のように工期が短くなってきている建築現場では、乾燥材の使用は建築後のクレームを少なくするためにも絶対条件なのです。
外壁や内装仕上げ材に、入居後間もなくしてヒビや亀裂が入ったら、あなたは気持ちのよいものではありません。
そんなことがわかりきっているから、建設会社は未乾燥の国産材は使いたくないのです。
それならば、「乾燥した国産材を使えばいいではないか」・・・・
そうですよね。

ところが木造住宅の80%は外材・・・国産材は20%
その少なくなってしまった国産材のなかで、乾燥していない木材がなんと80%、
乾燥材はたった20%しか流通していません。
ということは・・・・
国産材しかも乾燥されている木材の流通比率はなんと木造住宅全体では
たった4%です。
100棟の新築住宅の中で「たった4棟」でしかないのです。

「国産材で家を造りたい」と望んでいるあなたに、様々な理由から建築業者は無垢材に比べて一・五倍の強度があると集成材を薦めるめるはずです。
大手ハウスメーカーの家づくりの大半は、ホワイトウッド+金物の家ではありませんか?
使う木材の決定権は実質的に施工業者の側にあるとみても間違いではないのです。

私は、「たった4%の家造り」をあなたにはしていただきたいのです。
品質に優れている乾燥した国産材を選択するかどうかも、あなたの家造りとあわせて、完成後の姿勢にかかっています。

無垢材は伐採され、家となっても生き続けています。
造り手が無垢材の見える家造りでは、手間隙掛けて造るように、住い手であるあなたも、子供同様、愛情を注いで育て、見守る気持ちをもって欲しいと思います。
そうでなければむしろ、本物の家は建てない方が良いでしょう。