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家は見た目が9割だけど!

多額の費用を掛けて宣伝をしている大手住宅メーカーの建築価格は安くはありません。
それはテレビコマーシャル、新聞広告、住宅展示場などブランドイメージに多額の費用をかけているから仕方ありません。
こうして作られた「ブランドイメージ=高級だから」に価値を置くお客様が多く存在します。
それは建物の価値ではなく「高額な家」「有名メーカーの家」を建てたことが「ステータス」という価値感なのでしょう。
女性の大好きなブランドバックの多くは、ブランドの名前がシャネルやビィトンのように「これでもか」とバックに表示され、ひと目でそのブランドがわかります。
この誰にでもわかることが大切で、同じブランド品でも見てわからないものは売れません。だから、どこで建てたのか、わからない家では困るわけです。
広告などで見慣れた家のスタイル・特徴のある外壁材、これらのハウスメーカーの建物は家に関心を持つ人なら一目でどこの会社で建てたかわかります。

そこで、ハウスメーカー以外の住宅についてはどうでしょうか。
多額の費用を使ってせっかく建てる家、どうせなら「カッコイイ・・素敵」な家にしたいと誰でも思うのではないでしょうか。
じつは、見た目を決める為に使われる屋根や外壁材に使う費用は建築費全体の2割程度で3割までかかる事はまずないのです。
例えば、仕上げとして本物のアンテーク煉瓦を200㎡の外壁すべてに使った場合、工事金額はおよそ300万円、それを左官仕上げに変えると73万円、その差額は227万円です。
この差額を高いと見るか、安いと見るかは人それぞれ意見の分かれるところです。
煉瓦の場合、外壁の塗り替えなどありませんが、左官はメンテナンスが発生します。
仮に、10年に一回外壁をきれいにすると100万以上かかるでしょうから、20年でこの差額はなくなるわけです。
マンションと同様に考えて、外壁の修繕積立金を積み立てるとすると・・・
10年分として113.5万必要になります。
10年は120ヶ月ですから、単純に考えると月々9458円になるわけです。
そこで、新築時に227万円の差額を住宅ローンで余分に借りるとします。
金利2%期間20年とすると月々11000円程度です。
実際には20年返済を選ぶことは少ないと思いますが、それでも修繕積立金と考えれば
差額はほとんどありません。
目の前の金額差は、実際には建物の価値から考えたらむしろ安いといっても間違いではないのです。
それと同様に、家は建てたらそれで終わりではありません。
毎月のローン返済同様に、電気やガス・水道などの光熱費がかかります。
そしてご紹介したように、メンテナンスのための費用も準備しておかなければなりません。
住宅価格の絶対金額が安くても、後々の費用が余分にかかる家は結果的に高い家になってしまうのです。
建築は
「住み心地の良い家」「安全な家」「健康に良い家」「光熱費の安い家」などのように、そこに「住んで見なければわからない」要素が建築費の80%前後を占めていることです。
なんと建築予算の八割以上は「外からは見えないところ」に使われていることになります。
そこで、住宅会社がやることは
見た目だけをよくして「見えない8割りを安く」して利益を上げようとするのです。

だから、家を依頼する側として大切なことは「目先の金額に騙されない」ことです。
本当に正しい情報を手に入れ、自分の目で耳で身体で確かめるしかありません。


「結構大変だな」と思われるかもしれませんが、家造りとはそういうものです。
頑張って「いい家を造ってください」
インターネット・ブック「健康に良い家・安全な家」がその為の、一助になれば幸いです。

勉強すればするほど解らなくなってしまう!

いまなんと国民の3人に1人が「アトピー」といわれている。
もし、あなたの家族のなかでアトピーに悩んでいる人がいるとしたら・・・
仮に、その原因が住んでいる家、住環境にあるかもしれないとしたらどうするだろうか。
その住む家がマイホームではなく賃貸住宅なら、そんな家を出てもっと安全な家を求めるのではないだろうか。
住まいそのものを変えることが出来る賃貸住宅ならではの良さともいえる。
しかし、多額のローンを組んで新築または購入した「マイホーム・我が家」での出来事だとしたら、そんなに簡単に引っ越すことなどできません。
しかし、それでもシックハウス症候群・とくに「化学物質過敏症」にかかった家族は、その家から離れない限りは、命の危険さえある、それが現実です。

いつ訪れるかもしれない「巨大地震」、すでに古くなった家の多くは耐震補強の必要があると指摘されているにもかかわらず、対策は手付かずといってよい状況です。
(これは何も民間だけのことではなく、こんなときに避難場所として使われなければならない
地域の学校や市役所・病院までもが耐震不足という恐ろしい状況なのです。)
こうした耐震性・健康問題のみならず住み心地など住まいに求められる問題は多岐にわたっています。
書店の住宅コーナーに行けば棚の中・平台の上には数多くの本が並んでいる。
「いい家は無垢の木と漆喰で建てる」「いい家がほしい」という本や「無暖房・無冷房の家に住む」などという本を読んでみた人もいるだろう。
この類の本は、本当に良くかけている。

おそらくあなたが読めば必ず「そうか、それが一番いいのか」とたちまち影響を受けることは間違いないだろう。
しかし、はっきり言いましょう。

「半端な知識は百害あって一利なし」です。
一例を挙げると
「いい家がほしい」という本が強調している住宅は
「断熱」「構造」「依頼する会社」がよければ「いい家が建つ」などということはけっしてないのです。
多くは特定の工法、フランチャイズ組織のため書かれていて、もっとハッキリというなら「いい家を建てる」ならこの組織に加盟している工務店に依頼しなさいとなっている。
(最近著者がそのFCから脱退したので、違う方法を取り入れているけれど)

数多くの部材を使って造り上げていくのが住宅です。
どんな家に住みたいのか、それがハッキリすれば一番適切な構造工法を選択し、断熱気密の手段などを決めていきます。


あなたはまず、理想とする家造りのスタートとして
「どんな家に住みたいか」「どんな生活をしたいか」をハッキリしてみてはいかがでしょうか。
その「住みたい家」が明確なら、理想を実現するための手段・方法も見えてきますから。

そんなことなら簡単だ・・・と思いましたか?
ところがやってみるとわかるけれど、これが結構難しいのです。
住みたい家を無条件に列挙していけばその内容はどんどんと膨らむことでしょう。
あなただけでなく家族全員の意見をまとめるとなると、
「うーん、気が遠くなる」
なによりも、敷地条件や建築法規、道路条件、そして予算を無視するわけには行かない。

そこで、真逆な手段をお奨めしたい。
こうしたい、ああしたいではなく、
「絶対住みたくない家」
「こんな家はイヤだ・・」をまとめればよい。
その対極に本当にほしい家が見えてくるはず。
そうなったらしめたものです。
ナニが良くてナニが駄目なのか判断することが容易になったのです。
そうしたら、勉強することに価値が出てくると思います。
そうでないと、
「勉強すればするほどわからなくなってしまう」ことになる。


家の中は本当に安全?
家造りの現場は子供や同居する両親の事を十分考えながら家造りをしているでしょうか。
いざ家造りとなると「家族の健康と安全を守る」と言うことよりも気が取られてしまうことが沢山あります。
「外観が」とか「間取りだ」「いやシステムキッチンは絶対これ」「価格」など、きりがないほどです。
でも、その一つ一つを検討するときに、それは「健康に良いことなのか・安全か」の視点を無くさないでください。
どんな目的で、何のために家を建てるのか・・・とっても大事なことだと思うのです。

室内空気質はきれい?
室内で過ごす時間の多い子供やお年寄り、そして主婦にとっても特に重要なのが室内の空気質です。
住宅が変わったにもかかわらず生活の習慣やパターンが変わらなかったことから様々な問題が発生しました。
窓の周りは勿論、ビニールクロスのように呼吸をまったくしない石油で作られた化学建材。これでは結露が避けられないだろうし、タンスや押入れも結露に悩まされることは間違いない。
新建材で覆われた建物の構造体内部も同様でグラスウールなどの断熱材も結露によって断熱性能を低下させ、躯体が腐りシロアリの絶好の餌になるのです。
そしておまけには、このような生活は極端なほどの住宅内各部の温度差を引き起こし家の中を移動するたびにこの温度差が体に負担を掛ける事になってしまう。

また目には見えない汚れた空気は暖房や冷房の風、掃除機の排気、室内上下の温度差による対流などによって攪拌されます。
この攪拌され汚れた空気が、アレルギーや喘息などの症状を持つ人にとっては体によくないことは言うまでもありません。
それを少しでも防ぐためには「高断熱高気密工事と計画換気はセットで考える」これが大原則です。
家の中には新聞や書籍、家具やカーテン、そしてドライクリーニングなど
一つ一つは、大変微量であっても長時間その中で生活すれば健康に良くないはず。
なによりも家づくりの原則は「弱者の立場で考える」ということです。
健康な人にはまったく害の無いレベルであっても、弱者にとっては大きな苦しみを引き起こすことがあるからです。

∞ ∞ ∞

少しぐらい結露は仕方ない・・それは冗談でしょう!
室内ではこの結露が原因となってカビ・ダニが発生しダニの屍骸やフンが「アレルゲン」として空気を通して人の体に吸い込まれる事により「アトピー」「アレルギー」などの症状を引き起こすのです。
恐ろしい事に現在は3人に1人がアレルギーに悩まされている事実があります。
これは家族の中に誰か1人は、アトピーやアレルギーに悩まされて生活しているということです。

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最大の要因は、結露です。
結露が原因となって発生するカビは気温20~28℃、相対湿度75%以上で栄養と酸素が発育条件となります。
だからこそ、湿度、40~60%を保つようにすることが大切です。
「カビによる人体への影響を考えると、壁に繁殖したカビの胞子は1平方センチ(ほぼ10円玉1個分の面積)あたり1億個以上もあり、その大きさは、数ミクロン(1ミクロンは1000分の1ミリ)であり、極めて軽いため容易に空気中を浮遊し、呼吸器官や消化器官を通じて人間の体内に侵入する。
人間には、免疫力があるので、健康であればカビの胞子が体内に入っても、すぐに真菌症に冒されることはないが、免疫力の弱い老人や子供、何らかの病気を持っている成人、ストレスやその他で体力が衰退している人などは、カビに対する抵抗力が弱まり、真菌症になりやすくなる。
特に糖尿病などの慢性病、もしくは癌、血球病、再生不良性貧血、白血球減少症などの血液性疾患を持つ患者は、カビの感染によって死に至ることも多く、北里大学の発表によれば、人の死亡の10%はカビが直接または間接の原因になっており、糖尿病の慢性疾患の患者が亡くなる場合のほとんどが真菌感染症であると指摘している。」
 須貝 高 福岡大学工学部建築学科教授 HPより
真菌症  カビ(真菌)が原因で起きる病気のこと
これでは「たかがカビ」などといっていられません。
このようにあなたや家族の健康を守るためにも、この湿度を防ぐ対策は、十分すぎるほど検討していく必要があるのです。
「冬場は窓に結露するのが当たり前」とあなたが思っているとしたら大間違いだとお分かりいただけたでしょうか。

そこで結論・・・省エネに反する換気が必要なのはなぜ。
日本の住宅やその他建築の95%の内装仕上げは・・・ビニールクロスで出来ているから。

2007年12月28日、アメリカ環境保護庁が室内の空気は外部の空気と比較にならないほど汚染されていると警告を発した。
それによると一般家庭の室内空気汚染は96倍もひどい場合がある。
内装材が室内空気汚染を引き起こしている。化学物質過敏症のひとにとって、この汚染は症状をひどく悪化させる可能性があると報告している。

また、米国国立健康住宅センターの理事長れベッカ・モーリー氏はこう述べている。
「特にビニールクロスを使っている方は、検査してもらうべきです。またこれから家を建てる場合は、湿度の高い地域ではビニールクロスを貼るのは避けるようにしたほうがいい」とも警告しています。
ビニールクロスの裏側に発生するカビ、これが問題なのです。
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新聞やテレビでこの問題が取り上げられましたが、なんとそのアメリカにおけるビニールクロスの使用率は・・・たった5%にしか過ぎないのです。

日本は北海道などの一部を除き圧倒的に高温多湿の気候風土です・・・・
それなのに日本の建築ではアメリカの5%どころか95%もの内装仕上げは問題とされたビニールクロスが使われているのです。
テレビや新聞はこの事実を一言も伝えていません。
広告のスポンサーであるビニールクロスの製造会社に気を使うから・・・
大手ハウスメーカーの内装のほとんどはビニールクロス、なのに「健康住宅」だという。
とんでもないことで、アメリカの基準からすると我が国の住宅の95%は「病気になるおそれのある家」になる。

だからなのかもしれない。
省エネのために次世代省エネ基準を作りながら、外壁に多くの穴を開けて空気を入れ替え
る計画換気、まさしくマッチポンプのような工事を義務付けたのは。
現実には寒いから暑いからうるさくて、そして花粉が入ってくるなどといった理由で、家を建てた人の多くが計画換気のスイッチを切ってしまう。
それで万が一病気になったことが社会問題化したときのために・・・・考えすぎであってほしいと願っている。

せっかく「高気密」にしたのになぜ、壁に孔を開けるの?

快適な家づくりは三つのことを同時に解決しなければならないということだ。
その三つとは
・「高断熱・高気密」
・「計画換気」
・「結露」
高断熱と高気密は別々ではなくセットに考える。
それは断熱性能がよくても隙間だらけな家では換気も結露も解決などできないからだ。
断熱手法や気密工事は、その材料だけでなく「開口部のサッシやドア」もセットで見なければならないのは言うまでもない。

そこで、住宅を造る立場で本音を言おう。
はっきり言って、今の住宅造りに私は大きな疑問を持っている。

まずはあまりにも矛盾だらけの「計画換気システム」についての疑問だ。

多くの場合が「第3種換気」
第三種換気:排気を強制で行い、給気は給気口から圧力差で自然に取り入れます。室内の圧力は負圧(-)になります。住宅用換気システムでは排気型がこのタイプになります。

 

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吸気口を各室に取り付け機械換気で排気する一番簡単な仕組みです。

不思議なのがせっかくそこまで高断熱・高気密にしたにもかかわらず壁にたくさんの「孔」をあける第3種換気利用の家づくりだ。
まるでやっていることは「マッチ・ポンプ」ではないか。
新築された家を外から見てみると、壁のあちらこちらに小さなフードが取り付けられている。
これが、外気の取り入れ口だ。
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ここから冬は冷たく寒い乾燥した外気が、せっかく暖房している家の中に入ってくる。
夏には暑くて湿気のある不快な空気を冷房した部屋に導いている。
計画換気は二時間に一回、家中の空気を入れ替える仕組みだから、どんなに空気が新鮮だとしても省エネや快適さに反している。
冬は特に冷たい外気が部屋の床面に落ちてくる「コールドドラフト」といわれる現象が
住み心地をとても悪くする。
北欧では外気の導入部の下に温水暖房のパネルラジエーターがあり、輻射熱で部屋を暖めるのと合わせて冷気の問題を解決している。
それぞれの箇所にパネルラジエーターを取り付けるとなると相当な費用が必要になる。
冬が雨季で、夏は乾燥している地域だから冷房の必要がない。だから出来ることだと思う。
日本はそれに加えてエアコンも欠かせないわけだから快適生活にはかなり投資が発生する。
これは現実的でないのは言うまでもない。
環境に負担をかけない、だから北欧やドイツの家が良いなどといわれているが、夏には乾燥していて暖房だけ考えればよい地域と、四季がハッキリしていて夏は「高温多湿」冬には「低温過乾燥」の我が国と・・・(地域差があるからここでは関東周辺としておきます)同じでいい家など出来るわけがない。

計画換気の問題とは!

病気になる家の原因とされている、化学物質の使用は安全レベルに規制されているはず・・・
それにもかかわらず、一年365日休まず、一日に12回も家中の空気を外気と入れ替える・・一時間に0.5回だからそうなる。
本当にそこまでしなければ危険なほど、室内の空気は汚れているのか。
例えば、家庭で使われている家具も価格やデザインを優先させ化学物質の含まれたものが出回っています。
高気密住宅は、これらから発散される有害化学物質や二酸化炭素、湿度を排出するために
計画換気は必須なのです。
しかし、一方で換気をするということは外気と一緒にいやな花粉も、べたべたした湿度も、車の通りの多いところでは汚い空気も入ってくる・・
まだある、音の問題だ。
外部の騒音も穴を開ければイヤでも家の中に入ってくるし家の話し声も筒抜けかも。
そんな様々な問題以上におかしなことがある。
世の中エコだ・省エネだと言われているにもかかわらず、せっかく高いお金を使って暖めた空気も、涼しくした空気もみんなみんな12回も捨てるのだ。

これでは、快適な家づくりのための様々な取り組み、高断熱・高気密も価値を失わせるだけなのではないか。
こんな矛盾に大手ハウスメーカーや建築業者は気がついているはずなのに、3種換気の家を造り続けている。

こんなことを言っている私だって、偉そうなことはいえない。
けれど、それなりに工夫をしてきたつもりだ。
同じ3種換気であっても空気の汚れていない場所の換気は少なくし、人の集まっている場所や台所作業中は自動的に外部の空気を多く入れる仕組みの換気を採用してきた。
少しでも温度差と空気質を一定にすることで実質換気量を減らそうと「室内空気循環システム」も導入してきたわけで、まったく対策をしなかったわけではない。

なんと言っても、14年も前から3種換気以前に「第一種・熱交換顕熱換気」を使っていた。
外気を入れるときに、室内の熱は回収し冷気・暖気を捨てないで、パイプによって各室に新鮮な空気を送り、汚れた空気だけ捨てるシステムで、家の臭いや湿度は排出する。

設備費と施工費などは高くはなるが、三種の問題である各室の孔はなくなり冷暖房効率も
飛躍的によくなる。
ところが、これにはどうしても解決できない問題がシステム的に潜んでいるのです。
それは、永い間には吸気パイプ内が汚れ、その汚れた空気が各室に送り込まれること。
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そして、パイプ内の掃除が出来ないのが致命的です。

暖めた空気、冷やした空気を無駄に捨てない。
でも、目的のきれいな空気が時間が経てば立つほど汚れた空気になってしまう。

そして、顕熱換気は湿度がフリーパスで出入りするのも問題です。
夏は、温度もさることながら湿度が人の快適な生活を左右します。
冬には、乾燥した空気が入り生活から発生したせっかくの湿度は外に捨ててしまう、これでは風邪もひきやすくなり、敏感肌のかたには問題があります。

また温度を交換回収するということは、春・秋の気持ちのよい季節なのに室内の暖かすぎる空気を回収してしまうため、気持ちのよい外気を導入できない問題が発生しています。
換気は深いです。
まだまだ、問題がありそうだ。

住まいの省エネ技術革新

セントラルヒーティングと第1種顕熱換気を組み合わせた住宅を多く造ってきた。
すでに壊したが東松山・川越・所沢の総合展示場、そして現在の所沢・本社のモデルハウス3棟もこのシステムで冷暖房と換気をしている。
しかし、小屋裏に設置したセントラルヒーティングのフィルターは専用の気密はしごを上っていかなければならないので、メンテナンスが結構面倒なのだ。
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15年といえば短いようだが、技術の進歩にとっては結構な時間だと思う。
事実、住宅にも信じられないほど進化がこの間にあった。

わかりやすい例えで言うと
10年前はクラウンは2000ccのエンジンで動かしていたが、今なら50ccのバイクのエンジンで同じように走ることが出来る。
住宅にたとえると、電気ガスなどの生活に必要な光熱費が圧倒的に安くなってしまった。
(家一件分の暖房費は今までのおそらく25~30%・・3000円前後、お湯を沸かす費用は
一ヶ月1000円とこれも今までの20%程度になっている)
そのために家全体の仕組みをしっかりと構築するとなると、40坪程度の家が普通の家と比べて200万程度価格は上がるかもしれない。
この差額を銀行ローンを増やしたとしてローン支払額は金利2.4%の場合で7,798円になる。
年間では93,576円。快適に生活するために必要な冷暖房費やお湯を沸かす電気代などの光熱費がそれより安いのなら、見た目の安い家より「いい家」を造った方が良いはず。
2000万借り入れ・・それとも2200万借りる、どちらにしても目の前の現金をやり取りしているのではなく通帳などに記載された数字の違いでしかない。実際のその支払いは毎月の
住宅ローンなのだ。生活に必要な電気ガス光熱費は毎月このローンと同じように支払い続けるわけだから、同じ支払いなら、もしくはより総額が安いのなら「いい家」にしたほうが間違いなく良い。そうすれば安物買いの銭失いはしないですむはずなのだ

車だって、車体を軽くするなどガソリンを消費しない工夫や快適安全を求めて様々な工夫をしながら価格は極力高くしない努力が続いている。
住宅も同じように技術革新が飛躍的にすすんだはずなのにもかかわらず、現実は残念なことに造り手によってとんでもないほど快適性能には差がある。
それも不思議なことに、多額の費用を使ってイメージ広告を繰り返し行っている大手ハウスメーカーが一番遅れている、反対に規模は小さいけれど地場の先進の工務店や設計事務所が優れているその事実だ。
例えば
家全体を大掛かりな仕掛けのセントラルヒーティングにしなくとも、1階、2階にエアコンを設置すれば一年中快適な温度・きれいな空気を保つことが可能になったのだ。
エアコンそのものもヒートポンプを使うことで、信じられないほど省エネになっている。

私は冬には基礎に温水を回してコンクリートに蓄熱する床暖房を健康増進のためにお奨めしている。
これがまた、とっても気持ちがよいので評判なのだ。
この春まで(2010年)は設置費用はともかくとして、ランニングコストに少々難があった。
(一月10,000前後)
今では床暖房専用のヒートポンプと、●●のエネルギーを使うことでその電気代を7割も少なくすることに成功した。
35坪程度の家なら一ヶ月3000円、1日100円にしかならない。
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コンビニの缶コーヒーよりも安い費用で一日、家中が温かい。
結構快適で省エネ・しかも家計に優しい仕組みだが、なんとそれがこの冬から一段と進化することになったのだ。

計画換気の問題点を整理・・すると理想の換気が見えてくる。

省エネで快適な住まい心地の住宅に「高断熱・高気密」は欠かせない。
そして「高断熱・高気密住宅」では計画換気は欠かせない。
そこで一番採用されている「第3種換気」の問題とは・・・
せっかく費用をかけて造った「高断熱高気密住宅」の外壁に施工コストが安いからといってわざわざ穴を開けて、空気を入れ替える矛盾が、こんな問題を起こしている。

・夏は暑く湿度の多い空気、冬は冷たく乾燥した空気を家に入れるため不快な室内になる。
・一年中、花粉や排気ガスの多い外気を入れ続ける。
・外壁に開けた穴から外部の騒音、内部の音が出入りする。
・せっかく暖めた空気・冷やした空気を無駄に捨て、冷暖房費用の負担も大きい。
ざっと気がついた問題だけを挙げてみた。

では、上記の問題の多くを費用をかけてもよいから解決しよう・・・と「第1種熱交換・顕熱換気」を私は採用してきた。
まず、3種換気と違って壁に穴を開けない、だから音の問題もない。
花粉などを除去できるフィルターを通して家の中に新鮮空気を入れる。
冬の暖めた空気、夏の冷たい室内の空気は無駄に捨てなくて省エネ。
と、すべてとは言えないが様々な問題を解決できる。
一方、室内に給気するための配管の汚れによる空気の汚染が問題になるのと、湿度を回収しないので冬の過乾燥、夏の過剰な湿度は解決できない。
そして、メンテナンスも小屋裏に機械を設置することから、「簡単に」とはいかない。

この中の湿度の問題は温度・湿度を回収する「第1種全熱換気システム」で解決できるが
臭気も回収するしてしまうので、トイレなどの臭いが家中に漂ってしまう問題がある。

もう一つ、熱を回収する仕組みのため気候のよい春や秋でも室内の温度が外部より高いため、エアコンを回さないと暑すぎる家になっている。

こうして整理してみると、この換気問題を解決するには「家の造り方をセットで見直す」
そうしなければ、この問題は解決しないことが良くわかる。

計画換気の問題は家づくりから見直す。

さあ、それぞれの計画換気の抱える問題点が明らかになってきた。

「いい家」の前提として
様々な要因があることを百も承知の上で「高断熱高気密+計画換気+結露対策」に絞りながら、家づくりの仕組みを取り上げてみたい。

これからは夏と冬は「第1種全熱交換・・熱と湿度は回収し臭いは直接排気」そして春秋は
第3種換気システムに自動的に変わる。
ナゼ春や秋に三種にしなければならないのか。
それは、次世代省エネ基準を満たす性能の住宅は、人や家電、日射取得などで外の温度と室内の温度差が約7℃もになってしまい、暑い熱を回収してしまう熱交換換気システムは
冷房運転が必要になるからだ。
それなら、自動的に三種に切り替え自然の空気を室内に導入すればよい。
これも車でたとえれば、トヨタのプリウスなどに代表されるハイブリッとシステムと同じと考えればよい。
気候のさわやかなときは、第3種ですごし夏冬は湿度と熱を回収する省エネルギー(換気による熱損失はたったの5%程度で収まる)な全熱換気に切り替えれば冷暖房に必要なエネルギーを少なくすることが出来る。
夏の夜も外気温が27℃以下になれば三種に変わる)
そうそう、第1種換気の最大の問題点は給気パイプの汚れだった。
まず、外気取り入れ口の特殊フィルターによっていやな花粉も粉塵も99.8%とほぼ完璧に除去
しかも、フィルターの清掃・交換などのメンテナンスが容易にでなければならない。
そして室内の空気を送り込む「給気パイプ」をなくしてしまう。
室内の汚れた空気は「排気パイプ」で熱交換器を通じて排出すればよい。
室内にある排気用のガラリにフィルターを取り付け、掃除のときに一緒にゴミは取り除けばよい。
気になる臭気は発生場所であるトイレからパイプを使って直接外部に排出する。

これなら、計画換気の抱える問題の99%は解決するではないだろうか。
ただし、この仕組みは家の造り方・考え方として絶対的な三つの条件が必要になる。
その一つが何度も出てくる「高性能な高断熱・高気密住宅であること」
                高性能なサッシと玄関ドアなども条件に入る。
二つ目はその断熱気密を確保する外部との境目は基礎から小屋裏まで含む。
                基礎の内部も天井らも家の中と考えることになる。
三つ目は基礎の作り方の問題、断熱ラインは基礎の立ち上りのため基礎断熱を採用する。
                すると、白蟻処理や基礎の気密の確保、基礎内部の点検清掃
                が、容易に出来るようになっていなければならない。
この3条件を満たして始めて理想的な換気システムが採用できることになる。
ハッキリいって相当にハードルは高いと思う。
だから、換気システムを取り入れたらどこでも理想の換気システムに出来るかというとそれは出来はしない。
例えば、断熱材の白蟻による被害は・・・どのようにして防ぐか。
白蟻の薬剤の使用はどうするのか・・・・・家の中だから使えない。
基礎の気密は確保できるのか・・・・・・・・耐圧盤と立ち上がりの打ち継ぎ部の気密の確保
                        は、継ぎ目のない基礎を造らなければ無理。
                        土台と基礎の接合部の気密。
基礎内部を点検掃除できる基礎高の確保・・・・建築上の制限なども考慮しながら
考えただけでもこのような問題の解決が前提となってくるのだ。

家の「外と内」をわける場所はどこ!

家の「外と内」をわける場所はどこ!
「何、その話」と思われたかも知れませんね。
「室内空間なのか外部空間なのか分けている場所とはどこか」は家造りにとって、
とても大切な要素です。
正解は「断熱材が家の外と内を分ける境界になる」ということです。
基礎の換気「いる・いらない」
たまらないほど蒸し暑い日本の夏、乾燥して温度計以上に寒く感じる冬、様々な表情を持つ日本は、季節の変化に対応した住まい造りが求められるのです。
一般的な「鉄筋コンクリート布基礎」には換気口が作られているのですが、最近は換気口に変わって「基礎パッキン」を土台と基礎の間に挟み通気を取るケースも増えています。
これは、換気口部分が鉄筋やコンクリートが断絶するため、ヒビワレヤ強度の低下があり、それを防止するとともに、家全体に等しく風を通す目的もあります。

それとともに、床下の内部に湿度防止としてビニールシートを引き込むようになりました。
今ではその上に、防湿コンクリートを打設するのが、一般的な基礎工法といえるのです。

ところが、外断熱が普及すると基礎も外側から断熱して、換気口はつける事がなくなったのです。
基礎内部は家の「外」それとも「中」、どちらとして考えるか?
チョット考えるとたいした事では無いようですが、実は家づくりの根本的な考え方の相違が、ここに表れているのです。

家の中と考えるのなら、シロアリや木材の腐朽を防止する方法が確立されていなければ
ならない。

そして、基礎の内部は家の外と考えて、換気をするのであれば木造なら壁で囲まれている
木材の「きままな通気」をどのように考えるのか、明確な答えが欲しいものです。

外側と床下に断熱や気密の工事を施しても、内部の壁から天井まで「煙突状態」とするのなら(構造材の乾燥を目的とするなら・・・)家の中と壁の内部に著しい温度差が発生する事になります。
断熱などまったく役に立ちませんし、押入れの中は結露で悩む事になりますね。
それを防止するため押入れに「桐材」を使う・・・本末転倒の対処療法ではありませんか?
しかも、シロアリ処理剤などの薬剤が家中に蔓延する恐れさえあるわけです。

「基礎の換気」なんとも思っていなかったこの小さな選択は、そのまま家全体の造り方やものの考え方に影響する事になります。
参考までに

私は、基礎の換気口は造らず、基礎や屋根裏は家の中と考えて造ります。
当然、基礎の内部にはシロアリ処理はしなくても済むようにしますが、だからといって
ただ、シロアリに強いと言われる木材を使えば安心だ(炭やヒバ油などは効果がありません)・・・・などとは考えていません。


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どちらにしても、基礎内部空間は「完全に家の外」ということになります。
この場合、断熱ラインは1階の床下にあるわけです。

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(2階の天井から上にガラリや軒天通気口があれば、小屋裏は家の外になる)

この基礎の内部空間には住む人には有害な「シロアリ処理剤」が使われます。
毒薬の上に住み続けるわけで、健康に悪い影響を与えることは間違いないのです。
このシロアリ処理剤は、何年か前までは10年間は効果が持続する材料であったのですが、あまりにも強い毒性が原因となって発生した健康被害に配慮して毒性を弱め半分の5年間効果が持続すればよい事になりました。
期間が縮まって頻繁になった分だけあなたが負担する費用も余分にかかります。
しかもいつも強烈な毒薬の上に住み続けることになり健康に悪い影響を与えることは間違いないのです。
まして床下が家の内部となると、
シロアリ処理剤、そんな危ないものは使えません。
だからこそ、内と外の境界がどこにあるかしっかりと認識していなければならないのです。

ちなみにシロアリが生息する条件は「空気」「温度」「水分」「栄養」それは、すべての生物の生息条件なのですが、そのうち一つでも断ってしまえばよいといわれています。

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